Columnコラム
手汗(原発性手掌多汗症)の保険診療
こちらでは、手汗の原因やメカニズム、手汗(原発性手掌多汗症)の原因、保険適用可能な治療薬などについてお話しします。
手汗の原因とメカニズム:エクリン汗腺と交感神経の役割
私たちの皮膚には、「エクリン汗腺」という、体温調節のための汗を出す器官があります。暑い環境で体温が上昇した時や、運動をして体温が上がった時に、エクリン汗腺から汗が分泌され、気化熱によって体温を下げるのです。
また、精神的な緊張によっても汗が分泌されます。これは、緊張やストレスを感じると、自律神経の一つである「交感神経」が活発になり、アセチルコリンという物質が放出されることが原因です。アセチルコリンは、エクリン汗腺を刺激して、汗の分泌を促します。手汗が多い人は、この交感神経の働きが過剰になっていると考えられています。
原発性手掌多汗症とは?
「原発性手掌多汗症」とは、明らかな原因がないのに、手汗が過剰に出てしまう病気です。思春期に発症することが多く、日常生活にさまざまな支障をきたします。
原発性手掌多汗症の診断基準は、以下のようなものがあります。
- 他の病気が原因ではない
- 25歳以下の頃から症状がある
- 両手に同じように症状が出る
- 少なくとも週に1回以上、過剰な手汗が出る
- 睡眠中は手汗が出ない(交感神経の活動が低下しているため)
- 家族にも同じ症状の人がいることが多い(遺伝的要因が示唆される)
- 日常生活に支障が出ている(字を書くときに紙が濡れてしまう、パソコンのキーボードが濡れてしまう、楽器の演奏に支障が出るなど)
これらの項目に当てはまる場合、原発性手掌多汗症の可能性が高いと考えられます。
原発性多汗症は、手のひらだけでなく、足の裏、脇の下、頭皮、顔などにも現れることがあります。
手汗の種類:原発性と続発性の違い
手汗には、「原発性」と「続発性」の2種類があります。
- 原発性手掌多汗症:明らかな原因がない手汗。はっきりとした原因は特定できていません。
- 続発性手掌多汗症:他の病気や薬の副作用などが原因で起こる手汗。
手汗(原発性手掌多汗症)の保険適用治療
アポハイドローション
2020年から保険適用になったアポハイドローションは、手汗に悩む多くの患者さんの福音となりました。有効成分はオキシブチニン塩酸塩で、抗コリン作用によって汗の分泌を抑えます。抗コリン作用とは、神経伝達物質であるアセチルコリンの働きを阻害する作用のことです。アセチルコリンはエクリン汗腺を刺激して汗の分泌を促すため、その働きを抑えることで手汗を抑制する効果が期待できます。

使い方
- 1日に1回、夜寝る前に使用します。就寝前に塗布することで、日中の活動への影響を最小限に抑えられます。
- 両手の平に5プッシュを目安にを塗布します。
- 翌朝、起床したら手を洗い流します。
治療期間
アポハイドローションは効果が現れるまで数週間かかることがあります。効果を実感するまでにはある程度の期間が必要となるため、焦らずに継続することが重要です。
星ノ華スキンクリニック星ヶ丘では、お一人ひとりの状態をしっかりと伺い、治療を行っております。お気軽にご相談ください。
参考文献
- Glaser DA. Oral medications. Dermatologic clinics 32, no. 4 (2014): 527-32.
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愛知県名古屋市千種区星が丘山手911番地
サンホシガオカ4F
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※保険診療は9:30~13:00、15:00~18:00です。
土曜日午後、日曜日、祝日は美容診療のみとなります。
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